父親はよく、「挨拶は先にされたら負け」と言っている。
商売柄もあるだろうけど、小さな町で顔も知れてるから、道すがらの挨拶なんて日常茶飯事だ。
「あ、こんちは〜」
「暑いですねー」
「どっか行ってきはったんですか?」
「よー降りますねぇ」
銀行に行くにも、仕入れに行くにも、挨拶は欠かせない。
目的地までたどり着くのに時間がかかる。笑
ここ数年は地域や身の回りで「イベント」や「諸活動」が多かったので、それが主となってコミュニケーションを取っていたように思う。
「口実」として「キッカケ」として、すごく機能していた。
ところが、コロナがあってイベントや活動が制限されると共通の話題がなくなってしまう。
道すがら会う人なら「やぁ」とでも言えるけど、それなりに距離のある人だととんと開いてしまうのだ。
で、最近は「挨拶」のような些細なコミュニケーションが実は関係性を育んでいくんじゃないかと思っていて。
「雑談力」と言われるように、社内でも仕事を鎹にしたコミュニケーションとはまた違った効果があるのだと思う。
そんな「毛繕い」のような時間を幾重にも積み、そのうえで初めて成立する。
たとえば同じマンション内でも、挨拶の文化があるマンションとないマンションとでは有事の際の明暗は別れると思う。
地域というのは「知域」でもあり、コミュニティというのも「毛繕いができる間柄」だといえる。
「兄ちゃん、これな、スマホ、わからんねん。」
と唐突に言える大阪のおばちゃんのようなコミュニケーションが、これから求められるスキルなんじゃないだろうか。