アンパン資本主義


 

お腹が空いたり困っている子のところへ行って、アンパンマンはアンパン(顔)を分けてあげます。

こどもたちは「ありがとう!アンパンマン(^^)」と言って喜んでくれました。

 

アンパンマンはこどもたちに大人気で、毎日パンを焼いては困っている子たちのところへ行き、仲よく分け合っていたのです。

なかには、向こうの森にも困っている子がいたよ!と教えてくれる子たちもいました。

 

よし!と、はりきってアンパンマンは飛んでいくのです。

 

 

 

ある時、遠くの山から「もっともっと”ありがとう”を増やさないと、もしもの時に困るんだよ」だとか、「パンが焼けなくなった時のために、今のうちに”ありがとう”を集めておこうね」と大きな声が聞こえました。

 

その声はあまりにも大きくて、まわりの他のアンパンマンたちを不安にさせました。

 

ひとりふたりとアンパンマンたちは考え始め、もしもの時のために、今のうちに、できるだけたくさんの”ありがとう”を集めておかなくっちゃと、動き始めたのです。

 

 

 

中には、もっと甘くして毎日でも欲しくなっちゃうようなアンパンを焼き始める人もいました。

 

一度にたくさんパンを焼いたほうが安上がりなので、長く保存できるようなアンパンを焼き始める人も出てきました。

 

特にひどかったのは、わざと困りごとが絶えないような森にしてしまって、みんながアンパンでしか救われないような気持ちにさせた人たちです。

 

 

だんだんと、多くのアンパンマンたちは「”ありがとう”と言ってくれるのなら、アンパンをあげるよ!」と言い出したのです。

 

 

 

もう十分に困りごとがない森になったのに、不安を抱えたアンパンマンたちは”ありがとう”を集めようと必死です。

 

”ありがとう”を集めたいがために、「困りごと」を作るようになってしまいました。

 

 

 

 

森のこどもたちはふと思いました。

 

困ったときにはアンパンをくれて、たしかに”ありがとう”とは思うんだけれど、そもそもなんで困りごとはなくならないんだろう?

 

 

大きな声に騙されなかったひとりのアンパンマンは言いました。

「それはね、困りごとがなくなっちゃうと”ありがとう”がもらえなくなると思っているからなんだよ。」

 

こどもたちは続けます。

「え、でも、なんで”ありがとう”を集めなくちゃいけないの?」

 

「”ありがとう”をたくさん集めておくと、自分が困ったときに助けてもらえるみたいなんだ。」アンパンマンはこどもたちに言いました。

 

 

こどもたちは不思議そうな顔でこう言います。

「ちがうよ。困りごとがない森っていうのは、僕らにアンパンをくれたアンパンマンみんなも、”困らない”っていうことなんだ。僕らはまだ小さいから困りごとが多いけれど、大きくなったら困らない森を一緒に作ろうと思ってるんだよ。」

「だから、”ありがとう”を集めることはないんだ。僕らの順番も回ってくるんだ。安心してよ。」

 

 

 

アンパンマンは大きな声の正体を突き止めるために遠くの山へ向かいました。