僕が文章を書くのは、喫茶ピーコックの13番テーブル。
夜、日付が変わる前が多い。
意欲的で生産性が高い午前中にクリエイティブな仕事を!
と本にはよく書いてあるけれど、僕はやっぱりこの
「一日の終りに」
っていう感覚が好きだ。
別に今日の出来事や日記を書くつもりはない。
でもこの、微睡んだ空気、疲労感なのか達成感なのかわからない、しっとりとした時間が僕は好きで、創作や考え事はこの時間帯がよい。
時に感傷的になったり熱くなったりもするけれど、夜中のラブレターのように、翌朝恥ずかしくなって消してしまうようなこともない。
むしろ、大好きな文章は夜中に書いていることが多い。
翌朝、半分忘れかけた文章を読み返したとき、「あぁ、いい事いうなぁ。」なんて思う。
それはきっと、自分に宛てた文章だからだろう。
誰もいない薄暗い静かな店内で、車の音や踏切の音、人の行き交いやヘッドライトの明るさを横目に見ながら、思いに耽り文字を打つ。
これから世界に何が起こっても、僕は夜に文章を書きたい。
それは一日の終りに、そっと帯を締め直すたいせつな時間だから。