かお


 

昔あれだけ言い合いをした地元のおじいさんに、

 

「次はあんたの番やな、がんばりや。」と肩を叩かれた。

 

 

おじいさんが丸くなったのか、僕が丸くなったのか、もう15年も前のことだからよく覚えていない。

 

 

 

昔の自分を思い返して、ひとつだけ言えることがある。

 

 

 

あのころ僕は、若かった。

 

 

世間知らずで勉強不足。

知らないからこそ、走れたんだと思う。

 

 

 

いろいろ知りすぎてからじゃ行けない場所がある。

知識や経験も、ただあればいいってわけじゃない。

 

 

 

時代に合わせたアップデートを、だとか。

多様性が生まれる場作りと、だとか。

 

 

ネットで繰り返される流行りの動画はパワーワードとキャッチコピーの応酬だけれど、人を引きつける最大のツールはフレームやメソッドではなく。

 

 

 

「顔」だと思う。

 

 

 

地元のおじいさんたちはそれぞれの感覚で時代を生き抜いた、「自分の顔」を持っていた。

そしてまた、「自分のことば」も持っていた。

 

 

 

 

今日はなんだか、生きていくって素晴らしいな、と思った夜なんです。