目には目を


 

 

日々生きていると、日常のちょっとしたところに衝撃は潜んでいる。

 

それはまるで出会い頭事故のように、机の脚に小指をぶつけるように、こちらの意図しないタイミングでやってくる。

 

 

先日、気に入ってたスマートウォッチの部品が失くなっていることに気づいた。

 

時刻を確認しようと時計に目をやると、何かが違う。

 

その「何か」を把握するのに時間がかかってしまうくらい、最近手に入れたものだった。

 

 

じーっと見て、気づく。

 

「ベゼル(時計の周囲を覆う枠のようなもの)」、そのものが失くなっている。

 

 

商品の売りだった「気分によってベゼルを変えて楽しもう!」的なギミックが完全に裏目に出てしまっている。

 

ベゼルが外れる構造が故の紛失。

 

そしてもうひとつの手落ちは、ベゼル単体での販売がメーカーでもされていないこと。

 

 

なんでやねん。

 

 

かの釈迦は言っている

 

 

「あらゆる執着が人を苦しめるのだ」

 

その言葉を受け、僕はベゼルへの執着を捨てた。

 

そしてもうひとつのライフハック

 

 

「衝撃にはそれを上回る衝撃を与えるべし」

 

これは釈迦の言葉ではなく、僕の言葉だ。

 

 

若い頃、大切に乗っていたHONDAのモンキーが盗難に遭った。

 

あまりものショックに世の中の全てを恨んだが、そうも言ってられない。

 

3日後にはオランダのTOMOSという会社のモペット(ペダル付き自転車バイク)を買っていた。

 

 

以前、スピード違反でかなりの罰金を支払ったことがある。

 

もちろんこちらに非があるので手続きは速やかに済ませたけど、そのショックは計り知れなかった。

 

そのショックで手元が狂い、帰り道で自動車教習所に向かい、2輪免許取得のための入学金を納めていた。

 

そして数ヵ月後には250ccのバイクを購入したのだった。

 

 

ベゼルの紛失と共にスマートウォッチへの執着を捨てた僕は、数時間後には楽天市場とAmazonを交互に彷徨い、ありったけの愛とポイントをブラウザに叩きつけていた。

 

 

耐衝撃、防水、電波時刻合わせ、ソーラー充電、Bluetooth接続、オールマットブラック、名作5600。

 

 

 

そう。

 

目には目を、歯には歯を。

 

衝撃には、衝撃を。

 

 

 

G-SHOCKを買ったのだ。