最近、喫茶ピーコックはめちゃくちゃいい感じに仕上がってきたなぁと思う。
毎朝、いつもの人たちが順繰り入ってきては「おはよう~」とか言いあって、注文なんか聞かないし、いらっしゃいませなんて言わない。だいたい知ってる。
大谷の肩の話とか、まだ蚊がおったでとかそういう話。
お馴染みさんは日本円をピーコックの通貨(コーヒー券)に変えちゃうし、スタンプカードを貯めてニコニコしてる。(金額に応じて押すんじゃなくラジオ体操の出席スタンプ方式、25個でコーヒー1杯に)
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みんな品があって静かだし、混んでる時は譲りあったり相席したり。
会計だって、僕の仕事のタイミングを見計らって声をかけてくれる。
もちろん一見さんも来られるけど、場の雰囲気を察して馴染んでくれる。
老若男女いろんな人が来るし、子供が来たら大目にみるし、不自由な人が来たらみんな優しくなる。
手数料がもったいないやろと言って現金を使ってくれる人もいるし、100円玉が不足してると言えばどこからか集めてきて全部100円玉で払ってくれたりもする。
トイレも床も本棚も汚れないし乱れないし、何事も店のペースにあわせて気長に待ってくれたり。
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SNSは早々に辞めたし、誰かがSNSにポストすることもほとんどない。
Googleレビューの星なんて滅多につかないし、返信もしない。
Google上の営業時間は嘘ついてるし、17時には閉めるし、週に2日も休む。
取材は一切受けないし、集客も広告もしない。クーポンも出さないし、割引もしないし、特典も付けない。
あるのはウチで作ったコーヒー券とスタンプカード。
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自分が大事だと思えることを、大事にできるような働きかたをする。
自分が大事だと思えることを、同じように大事にしてくれる人に向けて働く。
けっして大衆向けではないし、スケールしないことだってよくわかっている。
でも、
まずもって自分自身が健康で、朗らかで、機嫌良くいることが何よりも大切で、業種や業態や働き方以前の、在りかたの話。
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毎朝寝坊せずに起きて頑張れるのも、目の前の人に優しくできるのも、風邪も引かずにいつも駅前で仕事できるのも、自分の営みが自分の中心だと思えるから。
「目の前の人を大事にする」というのは商売にもいえることだけど、商売抜きにしても僕にとっては大切なこと。
少し前に亡くなった松岡正剛さんが言ってた、『本来、稼ぎと勤めは別のものだった』という話が浮かんだ。
勤めるとは、稼ぎに行くことではない。
自分の働きや時間を消費されず、自分自身も消耗せず、毎日毎日、働きと時間を積み上げていく。
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「豊かさ」というものは、何かと引き換えに獲得したり、誰かから与えられたり、何か尺度のようなもので数値化できるものではなく、毎日の営みを経ることで少しずつ濃くなっていき、ふとした瞬間に自分だけがじわっと感じるもの。
働き方改革なんかで改革されるような薄っぺらいものじゃなく、自分の手でじっくりと積み上げていく土壁のようなもの。
その土壁を少しずつ外に広げていって、近しい誰かと繋げたり、境界を曖昧にすることで一種の囲いができる。
その囲いの中を「経済」といい、そこで続く営みを「経営」というのではないかと僕は思う。
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