喫茶ピーコックは来春から、パソコン禁止にしようと決めました。
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コロナを経てオンライン化が進み、お店にはパソコン勢がめっちゃ増えた。
ワイヤレスイヤホン×ノイズキャンセリング×ノートPC×キータッチパチパチ勢でテーブルが埋まって、無言でテーブルのコーヒーが冷めていくのを見ていると「僕、おる意味ある?」と思ってしまう。
それぞれにとっては仕事の合間の作業時間なのかもしれないけれど、僕にとって喫茶ピーコックは人生の大半を過ごす「舞台」です。
自分の人生を物語にした時に、無言でコーヒーが冷めていくページはできるだけ少ないほうがいいし、どのページも捨てがたいような小話で溢れているほうがいい。
これは僕のわがままだけど、「自分のはたらきは、自分が関わりたい人に使いたい」と思ったんです。
『誰の、何のために、僕ははたらきたいのか?』って考えた結果。
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経営的には、保険屋さん、リモートワーカー、営業マンとかが遠くなってしまうからけっこうな賭けだなーと思ってるけど、カウンター越しに見える店内の様子は「うん、僕は毎日これのためにがんばってるんだよな!」と思える景色を見ていたい。
自分のお店は、集い、憩い、育まれるような有機的な空気を漂わせていたい。
時間を使って物を売って、得たお金で時間を買う。
そういうサイクルを悪だとは思わないけど、僕は「自分の世界観(美学)という杭を、世間といういかつい岩盤に叩き込み続ける」という表現で生きていたいし、これを経済的にも成立させるために人生を使いたい。
無味無臭の椅子とテーブルを売る商売はカフェチェーンに任せて、喫茶ピーコックは、誰かにとってとても意味のある椅子とテーブルに仕上げていきたいと思っています。
クセとワガママのなれの果てぽく見えると思うけど、実は個人のお店はこれからこっちを強くしていかないとやってけないんじゃないかなーと思って。
つまり、「店主がいないと意味がないお店」ってこと。
もともと商いってそういうもんだけどね。