例年この時期になると、暮れのご挨拶として「よいお年を!」とかみんな言ってる。
喫茶店なんて商売をしているとお客さんも言ってくるし、出入り業者さんも友達も口を揃えて言ってくる。
ずいぶん前からこの「よいお年を!」に違和感を感じていて、言われてしまったから渋々返すことはあっても、意気揚々と感情を込めて僕から言うことはない。
なんていうか、感情がぜんぜん伴わない。
だいいち大切なのは「下の句」であって、「よいお年を!」と満面の笑みで言われても、もしかしたら相手は「(この男が)よいお年を!(迎えませんように…)」と心の中で願っているかもしれない。
だからどうせなら、上の句だけじゃなく下の句も合わせて言ってほしい。
よいお年をお迎えください!!!
これでやっとよく寝れる。
でもこの「よいお年をお迎えください!」と言うのもなんだか形式ばっていて、状況によって言わされている感が付きまとう。
こないだ来た常連さんが「兄ちゃん、今年も世話になったな。体に気を付けて、よい年を迎えや!」と言って帰っていったんだけど、これはもう大満足だった。
めちゃくちゃ納得感があった。
僕が求めていた「よいお年を!」の正解だと思った。
あのおじさんは僕にほんとに迎えてほしいんだろう、よいお年を。
そうじゃなかったら、あんなに清々しく流暢に言えない。
「おはよう!今日も一日よろしくね!」くらいの感じで入ってきた。
僕は相変わらず、「普通に寝て起き続けたら年を迎えるだろうよ。良いかどうかは人によるで。」みたいに感じちゃってるので、「よいお年を!」とうまく言えない。
その代わりに「今年もお世話になりました、来年もよろしくお願いします!」って言ってる。
これは本当にそう思うし、自分の気持ちを言葉にするとまさにこんな感じ。
ただ、フル尺で言うと長い。
長いから「よいお年を!」になってるんじゃないか。
でもあんまり長いと相手も気を遣うだろうから、「来年もまた!」くらいにいう時もある。
これは日本語の便利なところで、その場の状況と前後の文脈で相手が察してくれる。
もっと親しくなれば、「ほなまた!」で年を越せる。
この4文字の中に「今年もお世話になりました、来年もよろしくお願いします。体に気を付けてよいお年をお迎えください!」が詰まっているから。
まぁ、「よいお年を!」の中にも同じものが入ってるんだろうけどさ。
みなさん、ほなまた!!!